《mycashmere》 original fantasy
『カシミヤの森のコピーヌ』

第9話「クリスマスパーティのお知らせはエアメール」

新しくカシミヤの森の仲間になったエンジェルベアの特技は、背中の羽を使って、鳥のように空を自由にとべること。そこでカシミヤの森のコピーヌたちは相談して、エンジェルベアに空とぶ郵便屋さんをやってもらうことにしました。

「いいよ。喜んで。」

空を飛べるエンジェルベアのおウチは、カシミヤの森でいちばんのっぽのオークの木の上につくってありました。


エンジェルベアはオークの木の下に赤いポストをつくり、空からひとっとびで配達します。「エンジェルベアのエアメール便」と書いておきました。

ある日、エンジェルベアがポストの中をのぞいてみると、1通の手紙が入っていました。取り出してみると、封筒の真ん中に大きな字で

 「クリスマスパーティのお知らせ」


その横に、「ボク以外のみんなへ」とあて先が書いてありました。

裏返してみると、差出人はエディ。どうやら今年のクリスマスパーティのホストはエディ。手紙は、カシミヤの森の仲間にあてたパーティの招待状のようです。エンジェルベアは、さっそく配達にでかけました。

最初に行ったのはエボニーのおウチ。エボニーはとっても行動派で、いつもどこかに出かけていて留守のことが多いとコピーヌたちから聞いて言いました。

もし運が良くてエボニーがちゃんと居たら、これから先、郵便屋さんの仕事がとってもうまくいくんじゃないか、最初に試してみよう、そんな気がしたのです。そして、エボニーはちゃんといました。(ラッキー! 調子がいいぞ)エンジェルベアは気をよくして、思わず大きな声を出しました。

「こんにちは、空からひとっとびのエアメール便でーす」


エボニーが窓から顔を出しました。

「ハーイ、エンジェル。エアメール便だなんて、素敵なビジネスね」
「エボニーが最初の配達だよ」
「どれどれ、見せてちょうだい」


エボニーが手紙を開けてみると、こう書いてありました。

  〜〜今年のクリスマスパーティは、わたくしエディのおウチで盛大に開催します。
  恒例のパパ・ポーラーの手作りケーキは今年は2週間前から作ってもらうことにしました。
  きっと、たぶん、どうにか、なんとか間に合うと(いいなと)思います。

  追伸: 今年はパレットタウンからハンサムボーイのキョウが参加します。
  もしかしたらガールフレンドを連れてくるかも‥‥。お楽しみに。


「へえ、キョウがカップルで来るんだ! 今年も楽しくなりそう。ね、エンジェルははじめてだから知らないと思うけど、カシミヤの森のクリスマスパーティって楽しいのよ」


エンジェルベアが手紙をのぞき込んで言いました。

「この2週間前からケーキを作るって、どういうこと?」


「ああ、それはね、パパ・ポーラーがのんびり屋だからよ。
去年は1週間前から作ったんだけど、メインのケーキがパーティに間に合わなくてみんながっかりしたの。ケーキが来ないから気になってパパ・ポーラーのおウチに行ってみたら、デコレーションのアイデアがまだ決まらないんだって、悩んでいたの。結局、出来上がったのはクリスマスが終わって5日目だったのよ。みんなケーキのことをすっかり忘れていたからビックリしちゃったけど、もっと驚いたのが、す−−−−−−−−っごくおいしかったこと。さすがケーキ作りの名人、パパ・ポーラーね。そういうわけで、今年は2週間前から作ってもらうってこと。わかった?」

「ふーん、間に合うといいね」
「ほんとに間に合うといいんだけど」

思わず真顔になって見つめあい、ケーキのことを心配するふたり。どうやら相当のくいしんぼのようです。

「あっと、いけない。お仕事、お仕事!」
「まだ配達があるの?」
「手紙、返して」
「えっ?」
「その手紙、次に届けなくちゃいけないんだ」
「だって私の招待状じゃないの?」
「1通しかないから、みんなに順番に届けるんだ」
「もうエディったら、しょうがないわね。はい、お次へどうぞ」
「じゃあね」


パタパタとはばたいて、エンジェルベアは空に舞い上がっていきました。

次に配達したのは、ベビー・コピーヌたちのところ。ベビー・コピーヌたちは突然の招待状に大喜び。今年もドキドキ、ワクエワクの楽しいクリスマスがやってくる! プレゼントを誰にあげようかな、何をあげたら喜んでくれるかな、そんなことを思い思いに考えはじめました。そして最後には、エボニーのときと同じように、みんな口をそろえて、

「間に合うといいなあ」(ベビーエボニー)
「間に合うよ」(ローズ)
「きっと間に合うよね!」(リラ)


そう言って、心からパパ・ポーラーに期待したのでした。エンジェルベアのエアメール便を、別の意味で大歓迎したのは、ベビー・コピーヌ3番目の男の子、スカイ。空と同じブルーのカシミヤをまとったベビー・コピーヌ、スカイの夢は、大空を自由に飛びまわること。だから、空を自由に飛べるエンジェルベアは、スカイのあこがれの的です。

「いつか、ボクを助手にしてくれないかな」(スカイ)


エンジェルベアが次の配達先へ飛んでいくのを、スカイは目を輝かせながら見送りました。

次の配達先はハニーバニー。ラベンダー畑に住むハニーバニーは、招待状を受けとると、うれしくて耳をピクピクッとダンスさせました。

「ヤッホー、もちろん行くよ!」

最後の配達先はパパ・ポーラー。のんびり屋のパパ・ポーラーは読み終えるのにずいぶん時間がかかりました。読み終えて、顔をあげて、何か考えているようすでしたが、
ひとこと。

「‥‥間に合うかなあ?」


こうしてクリスマスパーティの招待状は、無事にカシミヤの森のみんなに配達されました。エンジェルベアのエアメール便、上々のすべりだしです。

もうすぐクリスマス。あなたの思いを伝えるために、素敵なプレゼントのご用意はお早めに。カシミヤ・コピーヌ・コレクションもお手伝いします。

(つづく)

 (stories and concept by omrais and mycashmere)