《mycashmere》 original fantasy
『カシミヤの森のコピーヌ』

特別編「マッシュルーム谷のラブリー・クリスマス」

ここは、カシミヤの森の西はずれ。大きなきのこがいっぱい生えているマッシュルーム谷。

お日様も沈んで、すっかり夜。空にはお月様がのぼっています。


ぼんやり輝く月あかりの下には、赤、青、黄、緑‥‥色とりどりのきのこのカサが幻想的にひろがっています。

さて、今夜は楽しいクリスマス・イブ。

マッシュルーム谷でもジングルベルが聞こえてきます。歌っているのは、きのこの下に住んでいるハグベアたち。


ここマッシュルーム谷は、ハグベアたちの愛の巣なのです。

大きな色とりどりのきのこの中で、ひときわ鮮やかな青いきのこ。


まあるいカサの下では、マッシュルームの軸をまんなかにして、ポーラー・ハグとスカイ・ハグのペアがかわいらしくハグして、ジングルベルを

歌っています。

おや、とつぜん歌声が止まってしまいました。
どうしたんでしょう?

「あはははは」
「どうしたの?」




「いま、ボク、歌をまちがえちゃった」
「そうなの?」
「うん」
「どこ?」
「鈴がなる〜♪というところをね」
「うん」
「鈴ながる〜♪って、歌っちゃたんだ」
「ハハハハハ、おかしいね」
「おかしいよね、鈴ながる〜なんて」
「じゃ、もう1回歌お」
「うん、今度は大丈夫」


でも、みんな知っていると思いますが、鈴が鳴る〜♪のところは、歌の最初のほうにやってきます。

だからアイボリー・ハグは、こんどは間違えないぞ、と真剣な顔。スカイ・ハグはその顔つきがおかしくて笑い出してしまいました。

「アハハハハ、へんな顔」
「ヘンかな?」
「もっと力を抜いてリラックスしなきゃ」
「そうだね」


ようやくまた、かわいいデュエットが始まりました。

 ジングルベール♪、ジングルベール♪

でもまた、スカイ・ハグが笑い出してしまいました。アイボリー・ベアの口元を見ていると、きっとまたおかしなふうに間違ってしまうと思えてしかたがなかったからです。

「アハハハ、やっぱりおかしい」
「もいいいよ、違う歌にしよ」
「アハハハ、じゃあ、赤鼻のトナカイ」
「うん、いいよ」

 真っ赤なおハナの♪ トナカイさんは♪
 いつもみんなの♪ 笑いもの


こんどはかわいい声で息もぴったり。歌声はマッシュルーム谷に響きわたっていきます。

そのときです。風に誘われて、どこからともなく、赤きのこのまんまる胞子がゆらゆら飛んできました。

赤い胞子はどこかはるか遠くの国へ飛んでいこうとしていましたが、このへんでひとやすみするのもいいかな、と思って、ちょうど目の前にあった青きのこのカサのはしっこに腰かけようとしました。

ところがスッテンとすべってしまって、そのまま下のほうへ‥‥。

「赤鼻のトナカイ」ならアイボリー・ハグも大丈夫と思い、スカイハグはすっかり安心してウキウキ気分でいっしょに歌っていました。

 でもその年の♪ クリスマスの日 ♪
 サンタのおじいさんは♪ 言いました ♪


そのとき、スカイ・ハグはアイボリー・ハグの
頭の上に何か赤いものがフワフワ落ちてくるの
が見えました。

その赤いものは、とても軽いのでしょう、
ふたりの歌に合わせてダンスするように、
右に、左に揺れながらゆっくりと落ちてゆき、
アイボリー・ベアの鼻の上に、ちょこんと
のっかりました。

 暗い夜道は♪ ピカピカの ♪
 おまえの鼻が♪ 役に立つのさ ♪


「アハハハハハハ」

またまた、スカイ・ハグは大声で笑い出しました。

「どうしたの?」
「アハハハハ、そっくり」
「そっくり?」
「アハハ、赤鼻の、アハハハハハ、トナ、カイ」

けげんな顔をして、それでも気になって、
アイボリー・ハグはふたつのまなこをギュッと真ん中に寄せて、
自分の鼻の頭を見ました。

「あ、ホントだ」
「ね、赤鼻のトナカイでしょ」
「アハハハハ」
「アハハハハ」

ふたりの明るい笑い声が、マッシュルーム谷にはじけていきました。

いつもかわいく抱き合って暮らしているハグベア。
カシミヤの森のコピーヌの中でも、
お互いを大切に想う気持ち、愛情をはっきり表すキャラクターで、
クリスマスプレゼントにぴったりです。

ハグベアから、世界中の恋人たちに、

心をこめて、メリークリスマス&ハッピーニューイヤー!

(つづく)

(stories and concept by omrais and mycashmere)