エディも必死になって、逆噴射くしゃみを続けました。
あっちむいて「ハックション」、こっちむいて「ハックション」、
またまた、あっちむいて「ハックション」、こっちむいて「ハックション」‥‥
でも、エボニーの出す指示があんまり急なので、少しずつくしゃみが追いつきません。
やがてエボニーが「右に!」というときにエディは左へしゃみ、エボニーが「左に!」というときにエディは右にくしゃみする始末。
いつのまにか、ふたりのからだは、右へくるくる、左へくるくる。
宇宙酔いのうえに、くるくるからだが回るので、エディは目が回ってしまい、ますます気持ち悪くなりました。
しかも、くしゃみを無理やり繰り返したので鼻のあたまはまっかっか、痛くて、痛くてたまりません。とうとう涙と鼻水で、顔がぐしゃぐしゃになってしまいました。
「エディ、左よ、左」
「エ、ボ、ニー、もう‥‥」
「早く、がんばって!」
「いたいんだ、クスン、もう、だめな‥‥んだってば」
「ダメ! くしゃみしなくちゃ、月どころか、カシミヤの森にも帰れないのよ!」
「ボクはもうダメだあ、もうほっといてよ‥‥」
「ほっとけないのよ、ふたりとも大変なんだから!
ね、エディ、お願いだから、くしゃみして」
「もう、くしゃみは、いやだ」
「ダメ! くしゃみして━━!」
「もう、くしゃみは、ゼッタイにイヤだ━━!」
自分では制御不能になって、別々の方向にくるくるでんぐりがえりしながら、大声で叫び合うエボニーとエディ。
このままブラックホールに吸い込まれてしまうのでしょうか?
そのとき、ふいに上のほうから声がしました。
「キミたち、こんなところで、何してるの?」
つづきは「エボニーのゆかいな宇宙旅行 Part3:エンジェル・ベア登場」へ
(stories and concept by omrais and mycashmere)