カシミヤのヒミツ

ふわっふわ最高級のカシミヤ

中国の内モンゴル自治区に、東西にわたり海抜1500mから2000mに陰山山脈が連なっております。
乾燥気候帯に属するこの地域は豊かな草原に恵まれ、乾燥に強い、山羊・羊の生育にもっとも適した所です。
全世界で使用されているホワイト・カシミヤの90%は、内モンゴルの周辺に生息するカシミヤ山羊から取れます。
この地域は阿拉善・陰山山脈に大別され、良質なカシミヤ山羊の原毛が採取され最高級品として、世界的に高く評価されています。

良質なカシミヤの生まれる条件

  1. 1年を通して寒暖の差が激しい。
  2. ミネラルをたっぷりと含んだ良質な自然水が十分にある。
  3. 短い夏期に牧草が豊富にあり、越冬の為に必要な食料を充分に補給できる。
  • この3点が満たされる事により、-20度から-30度にもなる厳冬に耐えるために必要な細くて長くやわらかい産毛が生えてきます。この産毛がカシミヤ製品の原毛となります。

臆病な山羊達は天敵がいない山岳に隠れ住んでいます。
平地にいるのはカシミヤ山羊と羊です。羊は山に登れないのです。牧民は収入を上げるために両方を飼育しているそうです。
羊は食肉用で10月、11月までに販売するので、冬を越すための餌代がかからず収入が安定するそうです。

カシミヤ山羊は草原の草を根っこから食べますのでそのあとは草が生えてきません。それゆえ草原の砂漠化を防ぐために政府は完全放牧を禁止しました。基本は飼育小屋を作って飼育する方針に十数年まえから実施しています。又場所によって放牧可能な場所でも禁牧(三牧)を指示して環境保全に力を入れてきました。

カシミヤについて

  1. カシミヤの品質は細度と長さによって決まります。
  2. 産地と言われる人もおりますが、産地の中でも差がありますので一概には言えません。一般的に中国内蒙古の阿拉善地区が一番良いと言われています。(14.5μから15.5μ)
  3. コストに占めるカシミヤの割合は75%から80%が原料代になります。したがって製品工場では利益を上げるために原料をブレンドして使うことが多々あります。それゆえ委託加工は歓迎されません。ほかの繊維の場合と一番違うところです。それゆえ当社では昔から信頼関係でつながっている工場に委託します。
  4. 各産地によって原料の特徴があります、同じホワイトカシミヤでも色差があり、同じ産地のものでもロットによって若干の差がありますので追加の場合は注意が必要です。
  5. 完成品を比べた場合に風合いの差がでることは必ずあります。これは原料の違いによるものが一番大きいです。(お客様の要求により縮絨を強くしたり、柔軟剤を多く入れる工場もありますが良質の原料を使えばその必要はありません。)
  6. 原料工場の問題点。安い原料を要求すれば整毛の回数を少なくします。又はブレンドします。差し毛が多く残り、山羊のフケなどが入ることもあり短い落ち毛を入れることもあります。
  7. 染色工場の問題点。ワタの状態で安い原料や脱色原料、死に毛などをブレンドします。或いはヤクや細い棉羊毛(16.5μ)などを入れます。
  8. 製品工場の問題点。最近は従業員の定着率が悪くなり、(給料が安く、働く環境が悪い)工場管理が難しくなっています。欧米、中国国内、日本のどこの比率が多いかを見極めて的確な指示と指導が必要です。経営者が管理の重要性をどこまで理解しているかを話し合って決めます。危険物管理、(針管理、備品管理、など)
  • お客様の大半は混用率を重視して原料の品質はあまり問いません。製品工場のチェックから入ります。良い製品は良い原料から生まれます。お客様が安心して信頼できるカシミヤ製品は原料の選択がもっとも重要と言って過言ではありません。
  • カシミヤ山羊の赤ちゃんは冬を越えていないので産毛は生えていませんが、やはりふわふわです♪

大きなハサミとクシを使って、山羊の毛を刈り・すきます。

選別、洗毛、整毛、染色、紡績・・・。砂ぼこりでベージュ色だった産毛は、工程を踏むごとに、より白くよりふわっふわに生まれ変わっていきます。

モンゴルの住居、ゲル。

棒編みの編みぐるみ制作。器用な職人さん達です。

無染色カシミヤについて

「無染色のカシミヤ」とは、その名の通り、染料を一切使用しない自然色のカシミヤ素材です。アイボリー、エクリュ、カフェの3色の毛を持つカシミヤ山羊がいます。

ファッションの世界で綺麗な色は不可欠ですので、一般的に化学染料で染色します。細い繊維のカシミヤ糸は化学染料で染めると、若干ですが肌ざわりが固くなります。繊維を長時間煮つめて色素を定着させるため、動物の毛のタンパク質が硬化するのです。黒等、濃い色ほど硬くなる傾向があり、アイボリーのような薄い色ほど柔らかく出来上がります。

当然ながら、化学染料を使用しない方がデリケートな産毛が痛まず、カシミヤ本来の柔らかさと光沢が生きます。「無染色のカシミヤ」こそが、究極のカシミヤらしい贅沢な温もりをもたらすといえます。

化学染料の他、脱色のために使用する化学薬品は環境へ悪影響を与えます。アレルギーの原因にもなると思われます。また、水洗い工程では大量の水資源を無駄にします。「無染色のカシミヤ」は地球に優しいエコ商品でもあるのです。